前置き
IKで動かされるボーンの配下に可動ボーンを付けたい、という時に、MMD9.09以前のバージョンでは直接付けられなかった、という話です。
例えば、左の太ももの横に何かオブジェクトを付けたいとして
そのボーンの親を(左足IKの構成要素である)左足ボーンにすると
9.09以前ではIKによる左足ボーンの影響をスルーして、その上位であるセンター~下半身の影響のみを受けていました。
(モーション:Do-Dai ver.R(kiyoさん))
これは「配下に可動ボーンを持つボーン系列をIK化する」という場合にも同様の効果になるわけで、、例えば腕ボーン~ひじボーンをIK化した場合、その配下にある「袖」とか「指」とかは腕~ひじのIKによる変形の影響から外れてしまうわけです。
腕から手首までをダイレクトにIK化して、そのIKの親を上半身に指定すると
「上半身」を回転させた時は腕IK系列も袖・指も一緒に動きます。「肩」ボーンを回転させると、袖・指は動きますが腕IKに拘束されてる部分は動きません。「腕IK」を移動すると、袖や指はその影響を受けずに留まり続けます。
「IKの影響を受けない」状態ではあるものの、ひじボーンを直接操作すれば袖や指はその回転は受け取ります。ひじボーン自体はIKの拘束範囲に制限されますが。
付与でワンクッション置く(本題)
ふとももと箱の件に戻りますが、では9.09以前の時代(実質、7.39.時代)あの箱が左足ボーンに追従して動く(かのように見せかける)にはどうしていたか、というと、付与ボーンを咬ませるわけです。
左足と同一座標上に、左足から付与率1の回転付与を受けるボーンを追加。親は(左足と同様に)下半身。
左ひざと同一座標上に、左ひざから付与率1の回転付与を受けるボーンを追加。親は左足から付与を受けるやつ。
すなわち、左脚系列に重複してウェイトのない左脚系列をもう一本生やすみたいな事です。
これらは左足IKによって動かされる左足・左ひざから100%付与を受けるので、左足・左ひざと同一の動きをします。でありながら、IKの構成要素ではない通常ボーンでもあります。
ということは、下位の可動ボーンの親として指定したら想定通りに動作します。
で、箱の親を左足付与ボーンに指定すれば、9.09以前のMMDでも左足に追従するボーンになるということです。
メリットとデメリットのこと
MMDはVer.7.39.で一旦開発が止まっていて、MMD周辺の技術やらなんやらはその時期に大いに発展したもんで、特にIK絡みの技術では「付与でワンクッション置く」のが必須でした。paperguitarさんのIK Maker Xプラグインで腕IK化すれば腕とひじに付与が咬まされるのも、そういう事です。
2021年10月現在のMMD Ver9.32で扱う分には、いちいち付与でワンクッション置かなくても良いかと思えるかもしれません。が。
付与を咬ましても、9.32で問題なく動きます。そこで、付与を咬ました場合のメリットとデメリットですが、まずメリットは
- 9.09以前のMMDでも動く
- (MMD7.39.時代の)古い資料を参考にできる
- セッティングミス等のトラブルの原因の切り分けが容易
対してデメリットは
- ボーンが数本増える
最終的に付与を咬ますか咬まさないかはセッティングをする各人が決めれば良いことですが、僕は付与を咬ます派なので、今後僕が書く資料は付与を咬ます前提になります。
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